かえりたい
ともちゃんは、千葉県の芝山町で町おこしに励む女の子。台風のあとのドタバタも落ち着いてきた9月の終わり、ドライブで山梨県に出かけました。
山梨県には、「しばやま」と一文字違いの村、「たばやま」村があります。漢字では「丹波山村」と書き、山の自然が豊かでおいしいものもいっぱいある村でした。ともちゃんは、その村のことを前から聞いていてずっと気になっており、ついに訪れることにしてみたのです。
丹波山村でおいしいものを食べ、野菜を買った後、山梨市の温泉に入り、甲府でほうとうを食べて、お土産をいっぱい買って、楽しい時を過ごしてきました。
ところが、帰ってきて荷台の扉を開けると、不思議な生き物たちが飛び出してきました。
「ばあー!」
「うわっ!!」
ともちゃんはびっくりして、しりもちをつきました。
「だ…だれ。」
UFOのような形をした、色とりどりの3人の生き物たちに、ともちゃんは尋ねました。
「ぼくたちは、タバスキー!丹波山村から来たんだよ!」
「あ、ああ…」
そういえば、丹波山村のお店の扉や看板に、こんな生き物の絵が書いてあったなと、ともちゃんは思い出しました。
「なんでついてきたの?」
「えへへ、お姉さんをびっくりさせたかったの!」
「それにしても、ずいぶん長く運転してたね」
「ここはどこ?」
タバスキーたちは、次々と話しかけてきます。
「ここは、千葉県の芝山町だよ」
「しばやま?」
「私たちの村と一文字違いだ!」
オレンジのタバスキーが、ぴょんぴょん跳ねました。
「千葉県の、どの辺なの?」
「そうだね…おうちの中で、地図を見せてあげるよ」
タバスキーたちは、ともちゃんが買ったお土産をおうちの中まで運んでくれました。
ともちゃんはテーブルに地図を広げて、タバスキーたちに見せました。
「ここが山梨県。丹波山村は、東京の西の端、奥多摩のすぐ隣だね。東京があって、その右にあるのが千葉県」
ともちゃんは、千葉県の真ん中よりちょっと右の辺りを指差しました。
「ほら、ここ。成田空港のすぐ南が、芝山町だよ」
「わあ~、空港の南なんだね!」
「さっきからゴーゴー音がしてるのは、飛行機の音?」
「そうだよ。朝から晩まで、ずっと飛行機が飛んでいるんだ」
「うわ~、すごい!」
「ここからも飛行機見えるかな?」
「見えるよ」
そう言ってともちゃんは玄関まで行き、ドアを開けました。外に出て空を見上げると、少し遠くに、空に向かって飛んでいく大きな飛行機が見えました。
「わあ~!!」
タバスキーたちは、飛行機に見とれました。
するとそこに、何か飛行機の翼がついた小さなものが飛んできました。はにわのように見えます。
「あ、しばっこくん!」
「こんにちは、ともちゃん!」
しばっこくんは、ともちゃんたちの目の前に降り立ちました。
「あれ、ともちゃん、お友達?」
しばっこくんが、首をかしげました。
「んー…うん。タバスキー、この子はしばっこくん。この町の人気者だよ」
「はじめまして、ぼくはしばっこくん。お空を飛べるはにわだッコ。よろしくね!」
「よろしく!ぼくたちは、タバスキー。山梨県の丹波山村から来たんだ!」
青いタバスキーが、はりきりました。
「わあ、山梨県!ともちゃん、昨日は一日、山梨まで行ってたんだね!」
「うん。なんか…この子たちがついてきちゃったんだ」
「へえ~」
しばっこくんは、タバスキーたちを一人一人眺めました。タバスキーたちも、しばっこくんを興味深そうに見ています。
「しばっこくん、空港の近くに住んでいるから、翼がついているんだね」
「うん!空港の整備員のお兄さんがつけてくれたんだッコ!」
「でも、なんではにわなの?」
「あのね…ぼくは、この町にある「空の駅」っていうお店を建てるときに掘り出されたはにわなんだ。この町には、ぼくの他にもはにわがいっぱいあって、博物館に展示されているんだよ!」
「えー、見たい見たい!!」
緑のタバスキーが目を輝かせました。
「じゃあ、一緒に博物館に行こう!ともちゃんも来る?」
「うーん…行きたいのは山々なんだけど、車でこんなに遠くに出かけたのははじめてだから、くたくたなんだ。私はおうちで寝てるよ。ごめんね」
「そっか。じゃあ、僕が連れてってあげる!」
「楽しんできてね」
「またねー!」
しばっこくんは、タバスキーたちと手をつないで、空高く舞い上がっていきました。
「ただいま!」
ピンポン音と、元気な声でともちゃんは目覚めました。
「おかえり~」
ともちゃんは、目をこすりながらドアを開けました。
「どうだった?」
「楽しかった!」
「とってもおもしろかったよ!」
タバスキーたちは、うれしそうにぴょんぴょん跳ねました。
「えへへ、芝山町を楽しんでくれて、とってもうれしいッコ!」
しばっこくんは、ほっぺをピンクにして、にこにこしました。
「ともちゃん、よく休めた?」
「うん」
「よかったね。明日からまた仕事、がんばってね!」
「うん。ありがとう」
ともちゃんは、しばっこくんにそう言われてうれしくなりました。
「ねえ、しばっこくん。ぼくたち、もっともっとこの町のこと知りたいよ!」
「おいしいもの食べたい!」
「ほんと?じゃあ、ぼくが案内するよ。楽しい場所も、おいしいものも、たくさん知ってるッコ!」
「わーい!!」
タバスキーたちは、また元気よく跳びはねました。
それからタバスキーたちは、しばっこくんに毎日いろんなところに連れていってもらいました。空の駅、航空博物館、湧水の里…有名な観光スポットから、まだあまり知られていない散歩道や井戸や川。タバスキーたちは、どこに行っても目を輝かせました。農家の人を尋ねておいしい野菜を食べたり、町についての話を聞いたり。タバスキーたちは、芝山町についてたくさんのことを知っていきました。
休日にはともちゃんと一緒に遊んだり、お料理を作って食べたりしました。
タバスキーたちは、とっても楽しく毎日を過ごしていました。ともちゃんもまた、新たな仲間ができたことをうれしく思いました。
「こんにちは!」
タバスキーたちと、しばっこくんは、畑でにんじんを収穫しているおじいさんに話しかけました。
「おお、しばっこくん。お友達かな?」
「うん。山梨県から来た、タバスキーたちだよ」
「おじいさん、よろしくね」
タバスキーたちは、にこにこして言いました。
「おうおう、まあ、お茶でもあがってくかい。ちょうど今から休憩しようとしてたんだ」
「ええ、いいの?」
「やったー!」
タバスキーたちとしばっこくんは、おじいさんについていき、おうちにおじゃましました。そして、広いリビングに通されました。タバスキーたちはソファーに腰かけて、目をきらきらさせながら部屋を見渡しました。古い壺の置物、かわいらしい掛け時計、誰かが粘土で作ったはにわ…色々なおもしろい物がおいてあります。
「さあ、おあがり。うちでとれたぶどうだよ」
おばあさんが、お茶とぶどうを持ってきてくれました。
「わあ、ありがとう!いただきます!」
タバスキーたちは、山梨県以外でとれたぶどうを食べるのははじめてです。山梨のぶどうとは違う形や味を楽しみました。
「おじいさん、この町は本当におもしろいところだね!」
「飛行機や、いろんなものがあって、毎日わくわくしっぱなしだよ」
「私、もうすっかりこの町が大好きになっちゃった!空港も大好き!」
「そうかそうか、それはよかった…」
おじいさんはそう言って、窓の外を飛んでいく大きな飛行機を眺めました。
「この町はね…とっても大変なことを乗り越えてきたんだよ」
「え?」
「ここの空港は、住んでいる人たちの反対を押しきって作られたんだ」
「そうなの…?」
「そう。わしが20歳過ぎの頃ね…突然決まったんだ。三里塚に空港を作るって」
「三里塚?」
「この近くの地名だよ。当時は三里塚空港とも言われていたんだ」
「へえ~」
「ここに住んでいる人たち、どうしてそんなに反対したの?」
「うるさくなるから?」
「それもあるだろうしよ、何よりここは、戦後に新しい人生を始めようと、一生懸命畑を作って住んでいた人たちが多かったんだ」
「そうだったんだ…」
緑のタバスキーが、ちょっと下を向きました。
「それはそれはみんな怒ったよ…親父もおふくろも、近所の人たちも」
「…怒って、どうしたの?」
「空港の用地から、決して引っ越そうとしなかった。それで、無理やり家を壊されたり測量が行われたりしたのさ。たくさんの機動隊たちがガードしながらね」
「…」
「農民たちは、火のついた瓶を投げつけたり、道具という道具で機動隊に立ち向かったり。わしも親父おふくろ妹と、農具を総動員して機動隊に向かっていった。おかげで農具がほとんどだめになったし、妹は自ら体を縛りつけていた木を切り倒されて死んだ」
タバスキーたちの目頭が熱くなってきました。しばっこくんも、下を向いて涙をこらえています。
「わしらのふんばりは、何の意味もなかった。空港は完成して、毎日うるさい飛行機が何十本と、わしらの家の上を飛びかった」
おじいさんはまた、窓の外の飛行機に目をやりました。
「でも、みんなが次第に「共存共栄」を唱えるようになったんだ」
「共存共栄?」
「そう。空港が繁栄し、町も活性化される。町と空港が手を取り合い、互いのために歩んでいくんだ。実際よ、空港の人たちはこの町の活性化のために、たくさんのものを作ってくれた。水辺の里、ひこうきの丘…町の自然を生かした公園や散歩道を整備してくれたんだ。それに、町も頑張った。芝山はにわ祭りっていう、古代人が天から降りてくるお祭りがあるだろ。あれは、空港の賛成派と反対派で二つに分かれてしまった町の人たちを、もう一度一つにつなげようと、始まったものなんだよ」
「そうなんだ…」
「空港の人たちも、町の職員も、空港と共にあることでこの町がもっと住みやすいところになるように、一生懸命頑張ってる。妹を失ったことは、本当に許せない。親父おふくろは、死ぬまで空港を許さなかった。今も傷を負ったまま生きてる人たちがたくさんいる。でもよ、わしは今なお町のために頑張ってる一人一人に励まされているんだ」
タバスキーたちも、しばっこくんも、おじいさんをじっと見つめています。
「何よりわしは、昔も今もこの町が大好きだ。空港ができたって、たとえこれから何があったって、芝山町の繁栄を願う人たちはいなくならないさ…ここにもっと若者が来ればの話だが」
「それって、ともお姉さんのこと!」
青いタバスキーが、身を乗り出しました。
「東京のど真ん中から、この町が気に入って引っ越してきたって」
緑のタバスキーも、はりきりました。
「ああ、ともちゃんね。めずらしいもんだよ。こんなど田舎に…」
「私、信じてる。ともお姉さんのような若者が、これからこの町に増えるって」
オレンジのタバスキーが、目を輝かせました。
「そう簡単にはいかないかもしれないけどねえ…」
タバスキーたちとしばっこくんは、おじいさんとおばあさんにお礼を言って、おうちを後にしました。
その日、タバスキーたちは、空の駅でおやつを買って外のベンチで食べていました。
「おじいさん、言ってたね。今も傷ついたまま生きてる人たちがいるって」
「そうだよね…こんなに楽しい町なのに」
「楽しい場所やおもしろいものがたくさんあるのも、これまでこの町の一人一人が頑張ってきたからなんだね」
「でも、どんどん変わっていく町に追いつけないで、取り残されている人もいるってことだよ」
「みんな、そういう人たちの存在を忘れてしまっているんじゃないかな」
「それじゃあ、本当にいい町にはなれないよ…」
「空港ができることが決まってから、どれだけの人が苦しんで悩んできたんだろう…」
見渡すと、子どもたちが飛行機の模型の下で楽しそうに遊んでおり、おばあちゃんたちがおしゃべりに花を咲かせています。でも、タバスキーたちの心の中は、この町が通ってきた痛みや苦しみを思って、はりさけそうでした。
「ぼくたち、この町のことを、なんにも知らなかった…」
「ただ楽しんでいるだけで、人のためになることを、なんにもしていなかった…」
「私たち、何のためにここにいるの…」
タバスキーたちは、ただただ泣き続けました。
芝山町の豊かな自然に触れて、たくさんの人たちとおしゃべりしたりおもてなしを受けたりしているうちに、タバスキーたちは丹波山村のみんなを思い出しました。そして、次第にみんなのことが心配になってきました。タバスキーたちは、家族やお友達には内緒でともちゃんについてきてしまったのです。楽しい毎日の中で、タバスキーたちはだんだん不安になっていきました。
「ぼくたち、なんてことしちゃったんだろう…お父さんもお母さんも、怒ってるだろうな」
「ぼく…おうちに帰りたい」
「私も、みんなに会いたい」
緑のタバスキーも、オレンジのタバスキーも、悲しそうな目をしています。
「でも、この町のみんなは、ぼくたちがやって来たことを喜んでくれているし、ともお姉さんもぼくたちのことが大好きだよ」
「帰るって言ったら、悲しむだろうな…」
緑のタバスキーが、ため息をつきました。
「勇気を出して、私たちの本当の気持ちをともちゃんに話してみようよ」
「うん…」
「そうだね…そうしよう」
タバスキーたちは、ともちゃんのおうちを訪ねて、家族や友達に黙って出てきてしまったこと、丹波山村に帰りたいことを話しました。
「そっか…」
ともちゃんは、ちょっとびっくりしました。
「おうちで、お父さんやお母さんにひどいことをされていたとか、そういうわけではないんだよね?」
「うん」
ともちゃんは辛い家庭で育ち、大学を卒業して早々に自立したのでした。
「それなら、みんなきっと心配してるよ。きみたちが帰っちゃうのはさみしいけど、私はみんなの気持ちを尊重するよ」
「本当?」
「うん。一人一人に、それぞれいるべき場所があると思うんだ。場所は違っても、愛する町でみんなで支え合って生きていく、その思いは同じだよ。私はタバスキーたちが大好きだし、丹波山村も大好き。みんなのこと、ずっと忘れないで応援してるよ」
「お姉さん!!」
タバスキーたちは、いっせいにともちゃんに抱きつきました。ともちゃんも、3人のタバスキーたちを両手いっぱいに抱きしめました。
タバスキーたちは、しばっこくんに乗せてもらうことになりました。ともちゃんは、芝山町の野菜、おにぎり、おいしいものをできるだけたくさんタバスキーたちに持たせてあげました。はにわも持たせてあげようとしたけど、あんまり重くなるとしばっこくんがうまく飛べなくなるので、やめました。
「山梨県に行くの、はじめてだッコ~」
飛ぶ準備をしながら、しばっこくんはわくわくしました。
「じゃあ、しばっこくん、よろしく頼んだよ。タバスキー、またいつか会おうね」
「うん!」
ともちゃんはタバスキーたちの頭を一人一人なでてあげました。タバスキーたちはみんな、とってもうれしくなりました。
しばっこくんは、タバスキーたちとお土産を乗せて、勢いよく飛び上がりました。
ともちゃんとタバスキーたちは、いつまでも、いつまでも手を振りあっていました。
丹波山村に降り立つと、村人たちとタバスキーたちがいっせいに出迎えました。村ではちょうど、秋の収穫祭をやっていたところです。
「おお!お前たち!!」
「父さん、母さん!!」
タバスキーたちは、一目散に家族や友達のところに走っていき、ひしと抱き合いました。
「本当に、本当に心配したんだぞ…」
「ごめんなさい…」
「お前たちの顔が見られて、本当にうれしいよ…」
タバスキーたちは、これまであったことを話し、しばっこくんを紹介しました。
「しばっこくん、ようこそ。遠くまでよく来てくれたね」
「とっても遠かったッコ~。みんな、よろしくね!」
お祭りは一層盛り上がり、タバスキーたちとしばっこくん、村人たちは、歌って踊ってとても楽しい一日を過ごしました。とれたてのお米、鹿バーガー、丹波山村のいろんなごちそうを、みんなでお腹いっぱい食べました。それから、芝山町のお土産もみんなでちょっとずつ分けて食べましたが、あっという間になくなってしまいました。
「さあお前たち、家に帰ろう」
「また一緒に暮らそうよ!」
お祭りも終わり、暗くなってきた頃、青いタバスキーの家族たちが言いました。でも、青いタバスキーは、ちょっとうつむいています。
「…どうしたんだ?」
「父さん…ぼく…」
青いタバスキーは、思いきって顔を上げました。
「芝山町に戻りたい」
タバスキーたちは、目をまるくしました。
「この1ヶ月、ぼくは芝山町のいろんなところに出かけたんだ。いろんな人と会って、いろんな話を聞いた。とっても素敵なところなんだけど、たくさんの痛みや悩みを抱えている町でもあるんだ…空港との関わり、町をどう活性化していくか、若者をどうやって呼ぶか…一人一人が、難しい現実と向き合いながら、一生懸命生きている。傷ついている人もいる。ぼくは、この村でみんなからいっぱいもらったやさしさや思いやりの心、おもてなしの心、負けずに生きる力を、芝山町のために生かしたいんだ。いろんな課題がある町だから、いろんなところから来た人の助けが必要だと思うんだ」
タバスキーたちも、村人たちも、みんな青いタバスキーをじっと見つめています。
「父さん、母さん、みんな。ぼくは、またいつか戻ってくるよ。芝山町で学んだことを、この村にも必ず役立てる。またしばっこくんや、ともお姉さんと一緒に、この村に遊びに来る。約束だよ」
タバスキーのお父さんの目が、うるうるしてきました。
「…そうか。分かった。精一杯、頑張るんだぞ」
「うん!」
青いタバスキーとお父さんは、しっかりと抱き合いました。
「父さん…母さん…ぼくも!」
「私も!」
緑のタバスキーとオレンジのタバスキーも、身を乗り出しました。そして、二人も家族や友達と、しっかりと抱き合いました。
タバスキーたちは、お祭りの残りの食べ物をたくさんお土産にもらいました。
「みんな、本当に、本当にありがとう。みんなのこと、ずっと忘れないよ」
「また近いうちに来るね」
「それまで、元気でいてね」
3人のタバスキーたちは、お土産を渡してくれた村人のおばあさんに、はりきって言いました。
「3人で助け合って、頑張って、幸せに生きてね。私たちは、いつでもお前たちの帰りを待っているよ。しばっこくんも、好きなときにまた遊びにおいでね」
「みんな、とってもすてきなおもてなしを、どうもありがとう。必ずまた遊びに来るッコ!」
しばっこくんは丹波山村のお土産を持ち、3人のタバスキーたちは、しばっこくんにしっかりつかまりました。
「3人とも、元気でね!」
タバスキーの家族たち、村人たちが、次々に言いました。
「みんなも元気でね!」
3人のタバスキーたちは、元気に返しました。
しばっこくんは、満点の星空に向かって勢いよく飛び上がりました。
「ばいばーい!」
「ばいばーい!!」
タバスキーたちと村人たちは、いつまでも、いつまでも手を振りあっていました。
芝山町のおうちでは、ともちゃんがベランダで植物に水をやっていました。何かが飛んでくるのに気がついたともちゃんは、ベランダ越しに空を見上げました。
「ただいまー!!」
しばっこくんと、3人のタバスキーたちは、元気いっぱい手を振りました。
あとがき
こんにちは。ともちゃんです。山梨県の丹波山村と、千葉県の芝山町の出会いを、お話にしてみました。
ご存じない方のために、簡単に説明しておきます。丹波山村は、東京都の一番西の奥多摩町のすぐ隣にある、山梨県の村です。山や川、自然が豊かで、おいしいお野菜やお肉がいっぱいあります。芝山町は成田空港のすぐ南にあり、飛行機がよく見えて、はにわもたくさんある町です。
一文字しか違わない「たばやま」村と「しばやま」町。仲良くできたら、すてきですね。
専ら芝山町民目線のお話になってしまいましたが、私自身もこれからも丹波山村をたくさん訪れて、もっといろんなことを学んでいきたいです。
タイトルの「かえりたい」には、丹波山村に帰りたくなり、最後には芝山町に戻りたくなったタバスキーたちの気持ち、そして、現代、都会にどんどん出ていってしまう若者たちが、田舎に「かえりたい」、そして町おこしをしたいと思うように、という私の願いを込めています。
芝山町で頑張っている3人のタバスキーたちを見かけたら、ぜひ声をかけてあげてくださいね。
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